
シングルマザーでも住宅ローンは組めます。ローン審査のうえでは、家族構成よりも返済能力が重視されるためです。児童扶養手当への影響、審査通過のコツ、利用できる公的支援制度まで詳しく解説します。
「シングルマザーには住宅ローンなんて到底無理だろう」そんな思い込みを抱いていませんか?一人で家計を支えるシングルマザーにとって、住宅購入はハードルが高いと感じられるかもしれません。
しかし、状況をしっかり整理したうえで条件を整えていけば、シングルマザーでも住宅ローンを利用して憧れのマイホームを手に入れることは十分に可能です。
重要なのは「無理だ」と決めつけてしまう前に、正しい知識を持ち、ご自身の収入やライフスタイルに合わせた適切な準備を進めていくことです。
この記事では、シングルマザーの方が住宅ローンを検討する際に押さえておきたいポイントや、具体的にどのような準備をしておくと安心なのかをわかりやすくご紹介します。
大丈夫!シングルマザーも住宅ローンを組める

基本的に、住宅ローンの審査において、シングルマザーであること自体が不利に働くことはありません。金融機関が注目しているのは、申込者がどのような家庭環境にあるかではなく、しっかりと返済していけるかどうかの「返済能力」です。
ここで言う返済能力とは、安定した収入があるかどうか、毎月の家計バランスが取れているか、そして無理のない返済計画を立てられるかといった具体的な点を指します。
そのため、正社員として継続的に収入を得ている方や、パート・派遣であっても一定の勤務年数がある方であれば、シングルマザーであっても十分に審査を通過できる可能性があります。
シングルマザーの住宅所有率は15.9%
厚生労働省が発表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母親本人の名義で持ち家を所有しているシングルマザー世帯は全体の15.9%に上ります。数字だけを見ると一見少なく感じるかもしれませんが、割合に直すと、約6世帯に1世帯が自分名義のマイホームを持っているということになります。
つまり、シングルマザーだからといって住宅購入が特別に珍しいわけではなく、実際に多くの方が夢を実現しているのです。周囲に事例が少なく「自分には無理だろう」と感じてしまう方もいますが、統計を見れば決して手の届かない目標ではないことがわかります。
出典:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12862028/www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html
重要なのは収入状況と返済プラン
住宅ローンの審査でカギを握るのは、やはり「返済能力」です。ここで勘違いしやすいのは「シングルマザーだから不利になる」という思い込みです。
しかし、実際には家族構成そのものではなく、毎月安定した収入があるかどうか、そして無理のない返済プランを立てられるかどうかが審査の大きなポイントになります。正社員として働いている場合はもちろん、派遣社員や契約社員といった雇用形態であっても、一定期間安定して収入を得ていればローン審査に通る可能性は十分にあります。
さらに、近年では女性を応援する住宅ローン商品が増えてきており、金利や返済条件の面で従来よりも柔軟に利用できるケースも少なくありません。こうした選択肢を知っておくことが、住宅購入の大きな後押しとなります。
住宅ローン審査でチェックされる主な項目

住宅ローンの審査では、金融機関がどのような点を重視するのでしょうか。国土交通省の「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、住宅ローン審査では、複数の項目が総合的に判断されます。
ひとつの項目で不安があっても、ほかの項目でカバーできる可能性があるため、諦めずに準備を進めることが大切です。
出典:国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001880178.pdf
金融機関がとくにチェックする項目は?
住宅ローンの融資審査において、金融機関が重視するポイントはいくつもあります。調査によると、回答率の高い順に以下の項目が挙げられています。
完済時年齢(98.4%)
健康状態(95.1%)
借入時年齢(96.0%)
年収(93.4%)
勤続年数(93.2%)
これらを見ればわかるとおり、銀行や信用金庫などの金融機関は「将来にわたって安定的に返済していけるか」という観点をもっとも重視しています。
たとえば、完済時の年齢が高すぎるとリスクがあると判断されやすくなり、健康状態も長期的な返済を見込むうえで大切な要素とされています。また、申込時点の年齢・勤続年数といった要素も審査の重要な基準になります。
一方で、注目すべきなのは「家族構成」を審査項目とする金融機関は33.9%にとどまり、「性別」にいたっては22.3%とさらに低い数字であることです。つまり、シングルマザーであることや女性であること自体が、ローン審査に大きな影響を及ぼすわけではないのです。
こちらの記事では、住宅ローンの条件について解説しています。
選び方や審査に通らない理由も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
住宅ローンを利用するのに必要な年収

住宅ローンの審査を通過するために、どの程度の年収が必要なのでしょうか。年収は確かに重要な要素ですが、金額だけでなく「安定性」も重要なポイントです。
同じ職場で長く働いていることや、今後も継続して働ける見込みがあることが評価につながります。ここからは、金融機関の基準や実際のデータをもとに詳しく解説します。
最低でも年収200~300万円は必要
一般的に、住宅ローンを組むためには最低でも年収200〜300万円が必要とされています。ただし、これはあくまで目安であり、金融機関によって基準は異なります。
国土交通省の調査では、金融機関の最低年収基準について以下のような結果が出ています。
100万円以上:258機関
150万円以上:405機関
200万円以上:71機関
250万円以上:25機関
つまり、年収200万円あれば多くの金融機関の基準をクリアできる可能性があります。年収が低めでも、フラット35のように雇用形態による制限が少ない住宅ローンもあるため、選択肢を広げて検討することが重要です。
返済負担率は年収の20~30%程度が目安
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。一般的に、無理なく返済できる目安は年収の20〜30%とされています。
例えば、年収400万円の場合は以下のようになります。
返済負担率30%:年間返済額120万円(月額10万円)
返済負担率20%:年間返済額80万円(月額約6.7万円)
余裕を持った返済計画を立てるなら、20%程度に抑えることをおすすめします。
【注意】比率によってはほかのローンを組めなくなる可能性がある
返済負担率が高すぎると、将来的に教育ローンや車のローンなどを組みにくくなる可能性があります。お子さんの成長に伴う教育費の増加も考慮して、無理のない範囲で計画を立てましょう。
また、返済負担率には住宅ローンだけでなく、既存のカードローンやその他の借入も含まれることを忘れてはいけません。
児童扶養手当は住宅ローン審査に影響しない
シングルマザーの多くが受給している児童扶養手当(母子手当)について「住宅ローンを組むと手当に影響するのではないか」という心配の声をよく聞きます。
結論として、児童扶養手当は住宅ローンの審査には影響しません。また、マイホームを購入したことで手当が減額されたり、打ち切られたりする心配もありません。
児童扶養手当の支給要件は所得額と家族構成によって決まります。住宅を所有していることは支給要件に含まれていないため、安心して住宅購入を検討できます。
ただし、両親や親族との同居を伴う住宅購入の場合は、世帯構成の変化により手当の対象外となる可能性があります。同居を検討される際は、事前に市区町村の担当窓口に確認することをおすすめします。
シングルマザーが住宅ローン審査に通りやすくなるには

住宅ローンの審査通過率を高めるための具体的な対策をご紹介します。これらのポイントを押さえて準備することで、審査に通る可能性を大幅に向上させられます。
申込条件を細部まで満たす
各金融機関の申込条件は、審査基準の目安となる重要な指標です。年収、勤続年数、年齢などの条件を必ずクリアしているかを事前に確認しましょう。
条件ギリギリの場合でも諦める必要はありません。条件を満たしていない項目がある場合は、満たすまで待つか、条件の緩い金融機関を探すという選択肢もあります。
信用情報をクリーンにしておく
過去のクレジットカードの延滞や携帯電話の料金未払いなどは、信用情報に記録されます。住宅ローンの審査では必ず信用情報がチェックされるため、問題がある場合は審査に影響します。
心当たりがある方は、信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)で自分の信用情報を確認し、問題があれば解決してから申し込むことをおすすめします。
自己資金・頭金を多めに用意する
頭金を多く用意できれば、借入額が減り、返済負担率が下がります。これにより審査に通りやすくなります。
一般的に、物件価格の10~20%程度の頭金があると理想的です。頭金ゼロでも組める住宅ローンもありますが、審査基準が厳しくなる傾向があります。
家計や就業情報を正しく伝える
収入や家計の状況は、正確かつ詳細に伝えることが重要です。パートやアルバイトの方も、安定して働いている実績があれば、それをしっかりとアピールしましょう。
勤続年数が短い場合でも、同業種での経験年数や、将来にわたって働き続ける意欲を示すことで、プラスに評価される場合があります。
将来のライフプランを踏まえた返済計画を練る
お子さんの教育費や自分の老後資金なども考慮した、長期的な返済計画を立てることが大切です。現在の生活だけでなく、10年後、20年後の生活も見据えて計画を立てましょう。
とくに、教育費は大きな支出となるため、お子さんの進路希望に合わせた資金計画を立てることをおすすめします。
シングルマザーにおすすめの住宅ローン

シングルマザーが利用しやすい住宅ローンをご紹介します。それぞれの特徴やメリットを理解して、自分に最適なローンを選びましょう。
女性向け特典がある住宅ローン
近年、女性の就業率向上にともない、女性向けの特典を充実させた住宅ローンが増えています。
【りそな銀行「凛 next」】
年収100万円以上から利用可能
勤続年数1年以上(一般的には3年以上が多い)
就業不能時あんしん保険が無料付帯
一部繰上返済手数料無料
出典:りそな銀行「りそな女性向け住宅ローン・借りかえローン
『凛next』」(https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/lin/)
【三井住友信託銀行「ジュニさぽ」】
子どもの誕生、6歳、15歳の誕生日に金利優遇(1年間0.1%引き下げ)
出産祝いクーポンの進呈
出典:三井住友信託銀行「ジュニさぽ」(https://www.smtb.jp/personal/loan/house/junior-support-n?waad=aexCTznO)
【関西みらい銀行】
2022~2025年オリコン顧客満足度調査 住宅ローン「女性」部門 第1位
充実した保障付きプランを魅力的な金利でご提案
手厚い団体信用生命保険(団信)
最長40年まで借入期間を設定可能
出典:関西みらい銀行「関西みらい銀行の住宅ローン」(https://www.kansaimiraibank.co.jp/lp_km/jutaku1/)
これらの商品は、シングルマザーの状況を理解した設計になっており、従来よりも審査基準が緩和されている可能性があります。金融機関によって特徴が大きく異なるため、ライフスタイルに合わせた住宅ローンを比較検討しましょう。
フラット35
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローンです。シングルマザーにとって以下のメリットがあります。
雇用形態による制限がない(パート、アルバイト、派遣社員も対象)
最低年収の設定がない
全期間固定金利で返済額が安定
繰上返済手数料が無料
保証人・保証料が不要
とくに「フラット35子育てプラス」では、お子さんの人数に応じて金利が引き下げられるため、シングルマザー世帯にはメリットが大きい住宅ローンです。
出典:住宅金融支援機構「フラット35」(https://www.flat35.com/)
親子リレーローン
親からの支援が受けられる場合は、親子リレーローンという選択肢もあります。
借入可能額を増やせる
返済期間を延長できる(親の年齢に関係なく子の年齢で計算)
親の信用力も評価に加わる
ただし、親に万が一のことがあっても住宅ローンは残るため、慎重な検討が必要です。
シングルマザーが利用できる公的支援制度
住宅購入を支援する公的制度を有効活用することで、経済的な負担を軽減できます。これらの制度は併用できるものも多いため、該当するものは積極的に活用しましょう。
児童扶養手当
児童扶養手当は、18歳到達年度末までの児童を養育するひとり親に支給される手当です。
【支給額(令和7年4月から)】
児童1人目:月額46,690円(一部支給:11,010円~46,690円)
児童2人目以降:月額11,030円加算(一部支給:5,520円~11,020円加算)
支給額は前年の所得によって決まりますが、住宅を所有していることで減額されることはありません。
出典:大阪市「児童扶養手当」(https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000002395.html)
【注意】条件から外れると手当打ち切りの可能性がある
両親や兄弟姉妹との同居により世帯構成が変わると、所得合算により支給停止となる場合があります。住宅購入で同居を検討する際は、事前に影響を確認しましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
厚生労働省が実施している制度で、住宅の建設・購入・補修などに必要な資金を貸し付けています。
【住宅資金の貸付内容】
限度額:150万円
据置期間:6か月
償還期間:6年以内
利率:無利子(保証人ありの場合)、年1.0%(保証人なしの場合)
申請先は市区町村の福祉担当窓口です。住宅ローンと併用することで、頭金の一部として活用できます。
出典:男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」(https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/23.html)
ひとり親控除
令和2年分の所得税から適用されている所得控除制度です。
| 要件 | 控除額 |
|---|---|
| ・事実上の婚姻関係にある人がいないこと
・生計を一にする子がいること ・合計所得金額が500万円以下であること |
所得税:35万円 |
この控除により、年間の税負担が軽減され、住宅ローンの返済に余裕を持たせられます。
出典:国税庁「ひとり親控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1171.htm)
寡婦控除
ひとり親控除に該当しない方で、以下の要件を満たす場合に適用されます。
| 要件 | 控除額 |
|---|---|
| ・夫と離婚後再婚せず、扶養親族がいて、合計所得金額が500万円以下
・夫と死別後再婚していない、または夫の生死不明で、合計所得金額が500万円以下 |
所得税:27万円 |
なお、ひとり親控除と寡婦控除は併用できません。ひとり親控除の方が控除額が大きいため、要件に該当する場合はひとり親控除を選択しましょう。
出典:国税庁「寡婦控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1170.htm)
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まとめ
シングルマザーでも住宅ローンを組んで、安心できるマイホームを手に入れることは十分に可能です。重要なのは「返済能力」であり、シングルマザーであることが審査で不利になることはありません。
成功のポイントは以下の通りです。
年収200~300万円を一つの目安とし、返済負担率は20~30%に抑える
信用情報をクリーンに保ち、可能な限り自己資金を準備する
女性向け住宅ローンやフラット35など、条件の良い商品を選択する
各種公的支援制度を積極的に活用する
児童扶養手当をはじめとする公的支援は住宅ローンに影響せず、ひとり親控除などの税制優遇も受けられます。これらを総合的に活用することで、無理のない住宅購入が可能です。
栄都トレーディングでは、92%の高い審査通過率を誇り、年収や勤続年数に不安がある方、パートや派遣社員の方、他社で審査が通らなかった方でも、希望する住宅ローンの実現が可能です。
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